亡国の奴隷姫と独裁国家の狼王子 ~処刑寸前に仇の王子の奴隷に落とされました~
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それから、レイファスはさほど時間を空けずに部屋へと戻ってきた。
戻るなり獣の姿に戻ったので、シルフィリアが驚きを隠せないでいると、彼はしなやかな動きで彼女に迫る。
「……あの」
「……約束は守ったようだが……」
「……?」
「いや、何でもない」
そう言うと、レイファスはスルリと人の姿へと戻った。
その顔は無表情のようにも見えるが、おそらくこれは、憮然としているのだろう。
あっけに取られるシルフィリアに、レイファスは何も言わず、いつものように、彼女の存在が見えないがごとく、執務を始めた。