亡国の奴隷姫と独裁国家の狼王子 ~処刑寸前に仇の王子の奴隷に落とされました~
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彼がシルフィリアと距離を置くようになったのは、先日、シルフィリアは治癒の魔法でレイファスの傷を治して以降のことだ。
シルフィリアはなんとなく、彼の中で、何かが次の段階へと進んでしまったのだと思っていた。
彼は、シルフィリアに飽きて放置しようとしたり、嫌ったりしているわけではない。
態度は冷たくとも、寝室を共にすること自体は変わらず、対外的には、レイファスがシルフィリアに興味を失ったわけではないという演技も続けている。
セディアスが、レイファスとシルフィリアの仲を理由に裏切ったそのことが理由かとも思ったが、おそらく違うだろうとシルフィリアは思いなおす。
レイファスはそのような些事に己の行動を左右されるような男ではない。
彼は自分の行く先を全て決めていて、彼を動かすことは、こうして傍にいるシルフィリアですらできないのだから。
そうして、ある日事件が起こった。
レイファスがシルフィリアの傍に居なかったその隙を狙って、狐が、彼女を攫ったのである。