亡国の奴隷姫と独裁国家の狼王子 ~処刑寸前に仇の王子の奴隷に落とされました~
こうして、シルフィリア達は牢に戻された。
牢に戻った後、シルフィリアは手の震えを止めることができなかった。
暴虐の狼王子の所有物となることの意味を考えれば考えるほど、震えは止まらない。
ここで自ら命を断つべきだろうかと、シルフィリアは思案を巡らせる。
シグネリアの王族は、いざという時のために自決用の薬と、解毒用の薬を隠し持たされている。
治癒魔法の守り手としての責務を果たすため、一族の誇りと叡智の結晶として生み出された、強力な効果を持つものだ。その秘薬を使えば、きっと苦しみを感じることなく、命を断つことができるだろう。
しかし、そうした場合、残された弟と従弟はどうなるのだろうか。
シルフィリアが身を捧げることで、二人の身の安全が確保できるのだとしたら。
決断することができないまま、シルフィリアは牢の中で一人、身を抱えて震えていた。