亡国の奴隷姫と独裁国家の狼王子 ~処刑寸前に仇の王子の奴隷に落とされました~
そうして、レイファスは、緋色の一族の治めるシグネリア王国に行き当たった。
以前のラグナ王国からは、少し離れた場所にあるその国。
しかし、勢力を広げた今なら、近隣諸国と言えなくもないそれ。
この頃には、レイファスは戦場に出る際、最速でことを済ませるだけでなく、その中枢部にいる女子ども達を集めるようになっていた。
レイファスが手を出さずとも、誰かに手を下され、または処刑される運命にあるそれを、仮死状態のまま、伯父と同様に、保管の魔道具に詰める。
それだけでなく、幾人かは生きたまま引き取り、官僚として、侍従侍女として、側に置いた。そして、集めた体を守るようにと、それだけを命じた。
それは、レイファスの弱さゆえの行為だった。
いつか誰かが救ってくれると思うと、何かが許されたような、そんな錯覚があった。
そして、集めた体の数が増えていくたびに、レイファスの心は悲鳴を上げながら、希望にすがるのだ。
いつかきっと、誰かが彼の罪を暴いて終わらせてくれるという、身勝手な望みに。