亡国の奴隷姫と独裁国家の狼王子 ~処刑寸前に仇の王子の奴隷に落とされました~

 そうして、レイファスは、緋色の一族の治めるシグネリア王国に行き当たった。

 以前のラグナ王国からは、少し離れた場所にあるその国。
 しかし、勢力を広げた今なら、近隣諸国と言えなくもないそれ。

 この頃には、レイファスは戦場に出る際、最速でことを済ませるだけでなく、その中枢部にいる女子ども達を集めるようになっていた。
 レイファスが手を出さずとも、誰かに手を下され、または処刑される運命にあるそれを、仮死状態のまま、伯父と同様に、保管の魔道具に詰める。
 それだけでなく、幾人かは生きたまま引き取り、官僚として、侍従侍女として、側に置いた。そして、集めた体を守るようにと、それだけを命じた。

 それは、レイファスの弱さゆえの行為だった。

 いつか誰かが救ってくれると思うと、何かが許されたような、そんな錯覚があった。
 そして、集めた体の数が増えていくたびに、レイファスの心は悲鳴を上げながら、希望にすがるのだ。

 いつかきっと、誰かが彼の罪を暴いて終わらせてくれるという、身勝手な望みに。


< 83 / 102 >

この作品をシェア

pagetop