亡国の奴隷姫と独裁国家の狼王子 ~処刑寸前に仇の王子の奴隷に落とされました~
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その日は、雲一つない、青い空が広がっていた。
冷えた外気の中、その豪奢な室内は適度に温められ、部屋の主人はゆったりと朝の時間を吟味している最中であった。
「父上」
いつもと違ったのは、執心している第四王子が、彼の寝室を訪ねてきたこと。
最期の妻二コラを弑して以来、女を呼ばないとはいえ、先ぶれもなく現れた息子に、ラザックはいぶかるようにして目を細める。
「時が来ました」
ラザックがその漆黒の瞳を見開くと、ふわりと、レイファスの姿が解けた。
現れたのは炎の獣。寵姫二コラが産み落とした、狼の化身。
周囲に人の気配はなく、そこには、ただ向き合う父と息子だけ。
「決着を着けましょう」
獅子王ラザックは、久しぶりに沸き立つ感情に、口の端を大きくゆがめ、そうして、その姿を解いた。
ただ、息子が求めるが故に。