その水滴が、痛い
私と角来くんが、付き合い始めたのは、2年生になってまだ2週間しかたっていなかった4月中旬。
去年から同じクラスで、特に話したことはなかったけれど、彼から突然、メッセージが届いたんだ。
『俺と付き合ってくれない?』
モデルさんのようなスラッとした高身長に、整った綺麗な顔。
入学当初から、彼のルックスの良さは、3年の先輩が1年の教室に見にくるほどすこぶる目立っていた。
それでも、当の本人は、そういうものには、まったく興味がなさそうで、基本的に無口で、男子グループの中で会話が盛り上がっているときも表情は変わらず。
何を考えているか謎で、ミステリアス王子なんて呼ばれたりもしていた。
そんな目立つ、物語の主役級の彼から、告白されて2ヶ月が過ぎたけど、未だに、彼がどうして私と付き合ってくれているのか謎。
放課後は、私の方が部活があるから、なかなか一緒に帰れないし。
そもそも、あの角来くんと付き合ってる、なんて、友達の誰にも打ち明けることができなくて。
先延ばしにすればするほど、言うタイミングが難しくて最近の悩みの一つ。
まだ、デートの一つもしていないし、手だって繋いでいない。
私と角来くんを繋いでいるのは、この、隣同士の席と、メッセージのやりとりぐらいだ。
……あれ?私と角来くんって、付き合って、いるよね?
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