その水滴が、痛い
朝のHR前、心配になって、慌ててスマホを取り出して、角来くんとのトーク画面を見返す。
『おはよう』
『おやすみ』
『今日もお疲れ様』
何気なすぎるやり取りの数々。
正直、恋人同士じゃなくてもできるような会話ばかり。
過去の会話を遡れば、やはり、角来くんからの告白から私たちのメッセージのやり取りはスタートしている。
勘違い……ではない。
ふざけて嘘告白なんてするタイプでもないと思うし。
隣の席を横目で確認すれば、相変わらず、机に突っ伏して寝ている。
普通、彼女が隣にいて、こんな寝てられるものなのかな?
「こーこな!」
「わっ……!麻希っ!おはよっ!」
後ろから、肩を掴まれたまま名前を呼ばれて、スマホの画面を見られないように慌ててスリープボタンを押した。
「なーに見てたのよ!」
後ろを振り向けば、今年同じクラスになって一緒にいる麻希が立っていた。
「何でもないよ!!」
「あそう。ね、水着、ちゃんと持ってきた?今日のラストの授業、プールだよ!プール!」
「……あ、うん。一応持ってきたけど……」
「いえーい!最初の1時間は自由時間って言ってたじゃん!めっちゃ楽しみ!私もうこの下から着てるし」
「え、そうなの?早すぎない?」
私、プールの時間は着替えとか色々と面倒くさくてあまり好きじゃないんだけど。
麻希が小学生男子みたいに張り切ってるのがおかしくて、吹き出してしまう。
「平泳ぎ、競走しよ!」
「えぇー、私そんな泳ぎ得意じゃないから…」
「じゃあ、心菜は犬かきでいいよ」
「そういうことじゃなくて!」
麻希とそんな会話をしていると、チャイムが鳴り朝のHRが始まった。