その水滴が、痛い
*
「女子、プール、いいなあ!」
「俺ら、夏休み明けてからじゃね?早く入りてぇ〜!」
「こちとら持久走よ?」
今日ラストの授業が終わり、着替えて教室に戻ると。
教室では、軽くタオルで髪の毛を拭いたり、くしで髪をとかす子たちが続出中。
男子が、女子のプール授業を羨ましそうに嘆いていた。
「うわ、誰かと思ったら、清野か!」
自分の席について、帰りの準備していると、突然自分の名前が呼ばれた。
顔をあげると、クラスの中で一番のムードメーカーである、神山くんと目が合った。
彼の声が大きかったので、そこにいた数名も私のことを見ていた。
い、一体なんだ……。
「えっと……」
「あぁ、ごめん!いや、ほら、清野って、いつも、後ろで一つに結んでんじゃん。だから、一瞬、誰かわかんなかった!」
「あぁ、はあ……」
確かに、普段は後ろの低い位置で一つ結び。
けど、今はプールが終わったばかりで、濡れた髪のまま結ぶのがいやで、髪を解いたまま。
そんなに、印象変わったのかな。
「そっちの方が俺は好き!エロいっ!」
「なっ……」
「ちょ、神山!!お前、セクハラだぞ!ちょっとわかるけどっ!」
なんて言ったのは、まさかの麻希。
わかっている。
冗談。悪ふざけ。
そこまで意味なんてない。
それなのに、こんなことで……。
「はっ、ちょ、ごめん!心菜!!」
顔が熱い、熱くてしょうがないし、なんて言えばいいのかわからないでいると、
麻希が、謝りながら、神山くんたちから私の顔を隠すように私をぎゅっと抱きしめた。
「心菜、まじでピュアウブだから、やめなよ、あんたたち!」
「……あぁ、なんか、ごめん」
そんな、神山くんの声がポツリと呟かれて、担任の先生が教室に入ってきた。