その水滴が、痛い




「女子、プール、いいなあ!」


「俺ら、夏休み明けてからじゃね?早く入りてぇ〜!」


「こちとら持久走よ?」


今日ラストの授業が終わり、着替えて教室に戻ると。


教室では、軽くタオルで髪の毛を拭いたり、くしで髪をとかす子たちが続出中。


男子が、女子のプール授業を羨ましそうに嘆いていた。


「うわ、誰かと思ったら、清野か!」


自分の席について、帰りの準備していると、突然自分の名前が呼ばれた。


顔をあげると、クラスの中で一番のムードメーカーである、神山くんと目が合った。


彼の声が大きかったので、そこにいた数名も私のことを見ていた。


い、一体なんだ……。


「えっと……」


「あぁ、ごめん!いや、ほら、清野って、いつも、後ろで一つに結んでんじゃん。だから、一瞬、誰かわかんなかった!」


「あぁ、はあ……」


確かに、普段は後ろの低い位置で一つ結び。


けど、今はプールが終わったばかりで、濡れた髪のまま結ぶのがいやで、髪を解いたまま。


そんなに、印象変わったのかな。


「そっちの方が俺は好き!エロいっ!」


「なっ……」


「ちょ、神山!!お前、セクハラだぞ!ちょっとわかるけどっ!」


なんて言ったのは、まさかの麻希。


わかっている。
冗談。悪ふざけ。


そこまで意味なんてない。


それなのに、こんなことで……。


「はっ、ちょ、ごめん!心菜!!」


顔が熱い、熱くてしょうがないし、なんて言えばいいのかわからないでいると、


麻希が、謝りながら、神山くんたちから私の顔を隠すように私をぎゅっと抱きしめた。


「心菜、まじでピュアウブだから、やめなよ、あんたたち!」


「……あぁ、なんか、ごめん」


そんな、神山くんの声がポツリと呟かれて、担任の先生が教室に入ってきた。
< 3 / 7 >

この作品をシェア

pagetop