その水滴が、痛い
*
帰りのHRが終わる頃には、顔の熱も治っていた。
テスト1週間前の今日は、放課後の部活はなしで、みんなが次々と、教室から出ていく。
バイトがあると急いで教室を出た麻希に手を振って、私も帰ろうと席を立った時。
ん?
隣の席の彼がまだ寝ていることに気付いた。
いつもは、割と早く教室を出ていくのに。
どうしたんだろうか。
「……かっ、」
あまりにも動かず寝ている彼を見ていると、声をかけるのをためらってしまった。
もう少し寝かせてあげよう。
いや違う。
このタイミングを逃したら、私たちは一生、話さない気がする。
本当は、話したいこと、聞きたいことがたくさんあるから。
教室の正面にある時計を見る。
あと、10分経ったら起こそう。
徐々に静かになっていく教室の中、ついに私と角来くんのふたりだけ。
今日数学でもらった課題に取り組んでいると、時間は刻々と過ぎてゆく。
10分後。
……何気に、角来くんと直接話すの初めてで、緊張する。一応、付き合ってるっていうのに。
普通のカップルからみたら、おかしな話なんだろうな。
そんなことを思いながら、ふーと深呼吸して、彼の肩に手を置いた。
思ったよりも角ばった、男の人の肩にドキッとしてしまう。
「……角来くん、起きて」
小さく呟いたつもりだけど、彼の身体はピクッと反応した。そして、机に腕と顔を置いたまま、顔だけをこちらに向けて目を開けた。
……寝起きだっていうのに、そんな綺麗な顔なこと、ありますか。
帰りのHRが終わる頃には、顔の熱も治っていた。
テスト1週間前の今日は、放課後の部活はなしで、みんなが次々と、教室から出ていく。
バイトがあると急いで教室を出た麻希に手を振って、私も帰ろうと席を立った時。
ん?
隣の席の彼がまだ寝ていることに気付いた。
いつもは、割と早く教室を出ていくのに。
どうしたんだろうか。
「……かっ、」
あまりにも動かず寝ている彼を見ていると、声をかけるのをためらってしまった。
もう少し寝かせてあげよう。
いや違う。
このタイミングを逃したら、私たちは一生、話さない気がする。
本当は、話したいこと、聞きたいことがたくさんあるから。
教室の正面にある時計を見る。
あと、10分経ったら起こそう。
徐々に静かになっていく教室の中、ついに私と角来くんのふたりだけ。
今日数学でもらった課題に取り組んでいると、時間は刻々と過ぎてゆく。
10分後。
……何気に、角来くんと直接話すの初めてで、緊張する。一応、付き合ってるっていうのに。
普通のカップルからみたら、おかしな話なんだろうな。
そんなことを思いながら、ふーと深呼吸して、彼の肩に手を置いた。
思ったよりも角ばった、男の人の肩にドキッとしてしまう。
「……角来くん、起きて」
小さく呟いたつもりだけど、彼の身体はピクッと反応した。そして、机に腕と顔を置いたまま、顔だけをこちらに向けて目を開けた。
……寝起きだっていうのに、そんな綺麗な顔なこと、ありますか。