優しい死神
もう無理だ。

これ以上耐えられない。

学校にも、家にも私の居場所はない。

もう終わりにしよう。

そして私は、ベランダの手すりに手をかけた。


「ねぇ、もしかして死のうとしてる?」
「え?」
きょろきょろと辺りを見渡す。

声が聞こえた気がしたが、気のせいか。

「ここだよ」
突然目の前に人が現れた。
「きゃっ」

驚いた拍子に、身を乗り出したままの状態で、前のめりになってベランダから落ちてしまった。

「おっと」
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