鑑定士マーガレット・エヴァンスは溺愛よりも美味しいごはんを所望する。
1.鑑定士のお仕事。
首都グレーゼン。
王城内にある魔術研究所のキッチンで、マーガレット・エヴァンスは本日も自由気ままにパンを焼く。
使用しているのは、仕込んで5日目の自家製天然酵母。今回はぶどうを使ったので、このままレーズンパンを作るつもりだ。
「おおーいい感じ」
焼き上がりのパンの匂いに胸をときめかせながら、マーガレットは幸せそうに微笑む。
やはり食事は美味しいほうがいい。毎日口にするのなら尚更。
「はぁぁーこの匂いたまんない。今すぐコーヒーとともにいただきたいわね」
マーガレットは手作りのパンを前に、自画自賛を並べる。
「まぁでも、その前に一仕事」
なんでこんなことになったんだろう、なんて考えたら負けだと思いつつ、マーガレットはため息をつくとフライパンと木ベラを手に取る。
「あー気が進まない」
そう嘆くマーガレットの視線の先に半透明のディスプレイが現れ、
『ドーンマイ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆』
と表示される。
「アイ、それは鑑定結果ではないでしょう。っていうか、もう少しマシなチョイスなかったの!?」
どうせなら慰めてよと文句をつけるマーガレットに、
『本日のマーガレットが逃げ切れる確率0%』
と容赦ない現実を突きつけてきた。
天気予報か。どうせならもう少し希望を持たせてくれよと嘆きつつ覚悟を決めたマーガレットは焼きたてのパンをカゴに入れる。
自家製パンは自分を守ってくれる最大の武器だ。
「さて、やりますか」
自分に喝を入れたマーガレットは目的の部屋まで歩いて行き、まずは普通にドアを叩く。
「大魔導師様〜朝ですよ!」
反応がない。まぁいつものことなので、想定の範囲内だ。
耳栓をしたマーガレットは、フライパンの底を木べらで叩く。
「ほらー!! 起きてくださーい!」
だが、全く反応がない。
「ちっ、仕方ないわね」
本当はこのドアを開けたくはない。
が、モタモタしていて朝食が冷めるのは絶対嫌だ。
ドアを勢い良く開けたマーガレットは、
「いいっ加減、起きろって言ってるでしょうが! この万年引きこもりめぇえーー!!」
力の限り叫ぶ。
すると何かが飛んできてマーガレットのすぐ脇を通りすぎ壁に激突した。
視線を流せばそれはおそらく目覚まし時計だっただろうものの残骸。残念ながら見る影もないが。
王城内にある魔術研究所のキッチンで、マーガレット・エヴァンスは本日も自由気ままにパンを焼く。
使用しているのは、仕込んで5日目の自家製天然酵母。今回はぶどうを使ったので、このままレーズンパンを作るつもりだ。
「おおーいい感じ」
焼き上がりのパンの匂いに胸をときめかせながら、マーガレットは幸せそうに微笑む。
やはり食事は美味しいほうがいい。毎日口にするのなら尚更。
「はぁぁーこの匂いたまんない。今すぐコーヒーとともにいただきたいわね」
マーガレットは手作りのパンを前に、自画自賛を並べる。
「まぁでも、その前に一仕事」
なんでこんなことになったんだろう、なんて考えたら負けだと思いつつ、マーガレットはため息をつくとフライパンと木ベラを手に取る。
「あー気が進まない」
そう嘆くマーガレットの視線の先に半透明のディスプレイが現れ、
『ドーンマイ☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆』
と表示される。
「アイ、それは鑑定結果ではないでしょう。っていうか、もう少しマシなチョイスなかったの!?」
どうせなら慰めてよと文句をつけるマーガレットに、
『本日のマーガレットが逃げ切れる確率0%』
と容赦ない現実を突きつけてきた。
天気予報か。どうせならもう少し希望を持たせてくれよと嘆きつつ覚悟を決めたマーガレットは焼きたてのパンをカゴに入れる。
自家製パンは自分を守ってくれる最大の武器だ。
「さて、やりますか」
自分に喝を入れたマーガレットは目的の部屋まで歩いて行き、まずは普通にドアを叩く。
「大魔導師様〜朝ですよ!」
反応がない。まぁいつものことなので、想定の範囲内だ。
耳栓をしたマーガレットは、フライパンの底を木べらで叩く。
「ほらー!! 起きてくださーい!」
だが、全く反応がない。
「ちっ、仕方ないわね」
本当はこのドアを開けたくはない。
が、モタモタしていて朝食が冷めるのは絶対嫌だ。
ドアを勢い良く開けたマーガレットは、
「いいっ加減、起きろって言ってるでしょうが! この万年引きこもりめぇえーー!!」
力の限り叫ぶ。
すると何かが飛んできてマーガレットのすぐ脇を通りすぎ壁に激突した。
視線を流せばそれはおそらく目覚まし時計だっただろうものの残骸。残念ながら見る影もないが。
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