鑑定士マーガレット・エヴァンスは溺愛よりも美味しいごはんを所望する。
なるほど、ここでは魔法が当たり前なのか。
「アイ、浄化魔法の仕方を教えて?」
2人には鑑定スキル持ちであることがばれてしまっているので、マーガレットは堂々とカンニングをする。
今まで屋敷にいたので必要がなかったマーガレットは、これからは自分で魔法を使えるのねとワクワクしながら鑑定スキルに問いかけたのだが、
『マーガレット・エヴァンスは、鑑定スキル以外魔法の類が一切使えません』
と無常な鑑定結果が表示された。
「ええ!? なんで?」
だって、この世界では"魔法"が当たり前であるはずなのに。
『現在のマーガレットは元の魂とは違うため、魔力が備わっていません』
マジか。
マジか!?
驚きすぎて二度見する。
確かに並べられていた慰謝料の中に生活魔法なんてものが入っていた。
だが、今まで魔法なんて存在しない世界で生きていたマーガレットにとって、生活魔法の価値がわからなかったのだ。
今まで当たり前すぎて気にしたこともなかったけれど、そうか発展した科学はきっと魔法に相当するのね、なんてマーガレットは現実逃避する。
「確かに慰謝料はひとつって言ったけどぉーーーー」
魔法必須のこの世界で、魔法が一切使えないなんて日常生活を生き抜くだけでも大変な仕様じゃない!
ちゃんと説明しなさいよと、神様の代理人たちの顔を思い浮かべたマーガレットは盛大に舌打ちをした。
「他に何か使えるモノは」
とにかくこのままでは料理ができない。
自分で魔法が使えないならとにかく代用できそうなものを探さなければ、とマーガレットは鑑定をかける。
鑑定結果のディスプレイはロキのすぐ側で表示された。
『ロキ・アルヴァーノ。大魔導師。浄化魔法、粉砕魔法他、火・水・風・土・光・闇属性魔法完備』
「便利な魔術師発見!」
「は?」
がしっとマーガレットはロキの手を掴む。
「大魔導師様? ちょーっとお尋ねが」
「……なんだよ」
目が据わっているマーガレットに若干引きつつ、ロキは尋ねる。
「鰹節の塊めっーちゃ薄く削れます?」
「ああ、わけないが」
ロキが指をかざした瞬間、それは見慣れた鰹節の姿になった。
「うわぁぁー。ようやく会えたね!!!!」
会いたかった、とテーブルの上の鰹節をみながら叫ぶマーガレット。
その様はさながら遠距離恋愛中の恋人に再会した時を彷彿させる。
感動の再会を果たしたマーガレットはくるっとロキに向き直ると、
「大魔導師様。水を浄化して、コンロの火もつけて欲しいです。今すぐに」
とマーガレットは懇願する。
「は? それくらい自分で」
やれよとロキが言うより早く、
「できたらやってるわーー!!」
マーガレットは心の底から叫んだ。
「もう、限界なんですよ。美味しいごはんが食べたいんですよ。材料だけあってもダメなんですよ。作りたいんですよ、美味しいごはんを!! 協力してくれますよね?」
殺意にも近いマーガレットの脅迫に飢えているのは自分だけではない、とロキは悟る。
そしてロキは押しに弱い。
「ハインリヒ」
この女ヤバいと視線を彷徨わせたロキと目が合ったハインリヒは、
「面白い。協力しよう」
ロキがここまで押されるなんて珍しいしとにっこりと笑うと、
「というわけで、ロキ。彼女を手伝ってあげなさい」
命令です、と爆弾を投下する。
「はぁ?」
エネルギー不足で働くの嫌なんだけどとロキは顔を顰めるも、
「よっしゃー王太子の命令きたー。作りますよ、大魔導師様。美味しいうどんを!」
マーガレットの勢いに押されて結局うどん作りに付き合わされることなった。
「アイ、浄化魔法の仕方を教えて?」
2人には鑑定スキル持ちであることがばれてしまっているので、マーガレットは堂々とカンニングをする。
今まで屋敷にいたので必要がなかったマーガレットは、これからは自分で魔法を使えるのねとワクワクしながら鑑定スキルに問いかけたのだが、
『マーガレット・エヴァンスは、鑑定スキル以外魔法の類が一切使えません』
と無常な鑑定結果が表示された。
「ええ!? なんで?」
だって、この世界では"魔法"が当たり前であるはずなのに。
『現在のマーガレットは元の魂とは違うため、魔力が備わっていません』
マジか。
マジか!?
驚きすぎて二度見する。
確かに並べられていた慰謝料の中に生活魔法なんてものが入っていた。
だが、今まで魔法なんて存在しない世界で生きていたマーガレットにとって、生活魔法の価値がわからなかったのだ。
今まで当たり前すぎて気にしたこともなかったけれど、そうか発展した科学はきっと魔法に相当するのね、なんてマーガレットは現実逃避する。
「確かに慰謝料はひとつって言ったけどぉーーーー」
魔法必須のこの世界で、魔法が一切使えないなんて日常生活を生き抜くだけでも大変な仕様じゃない!
ちゃんと説明しなさいよと、神様の代理人たちの顔を思い浮かべたマーガレットは盛大に舌打ちをした。
「他に何か使えるモノは」
とにかくこのままでは料理ができない。
自分で魔法が使えないならとにかく代用できそうなものを探さなければ、とマーガレットは鑑定をかける。
鑑定結果のディスプレイはロキのすぐ側で表示された。
『ロキ・アルヴァーノ。大魔導師。浄化魔法、粉砕魔法他、火・水・風・土・光・闇属性魔法完備』
「便利な魔術師発見!」
「は?」
がしっとマーガレットはロキの手を掴む。
「大魔導師様? ちょーっとお尋ねが」
「……なんだよ」
目が据わっているマーガレットに若干引きつつ、ロキは尋ねる。
「鰹節の塊めっーちゃ薄く削れます?」
「ああ、わけないが」
ロキが指をかざした瞬間、それは見慣れた鰹節の姿になった。
「うわぁぁー。ようやく会えたね!!!!」
会いたかった、とテーブルの上の鰹節をみながら叫ぶマーガレット。
その様はさながら遠距離恋愛中の恋人に再会した時を彷彿させる。
感動の再会を果たしたマーガレットはくるっとロキに向き直ると、
「大魔導師様。水を浄化して、コンロの火もつけて欲しいです。今すぐに」
とマーガレットは懇願する。
「は? それくらい自分で」
やれよとロキが言うより早く、
「できたらやってるわーー!!」
マーガレットは心の底から叫んだ。
「もう、限界なんですよ。美味しいごはんが食べたいんですよ。材料だけあってもダメなんですよ。作りたいんですよ、美味しいごはんを!! 協力してくれますよね?」
殺意にも近いマーガレットの脅迫に飢えているのは自分だけではない、とロキは悟る。
そしてロキは押しに弱い。
「ハインリヒ」
この女ヤバいと視線を彷徨わせたロキと目が合ったハインリヒは、
「面白い。協力しよう」
ロキがここまで押されるなんて珍しいしとにっこりと笑うと、
「というわけで、ロキ。彼女を手伝ってあげなさい」
命令です、と爆弾を投下する。
「はぁ?」
エネルギー不足で働くの嫌なんだけどとロキは顔を顰めるも、
「よっしゃー王太子の命令きたー。作りますよ、大魔導師様。美味しいうどんを!」
マーガレットの勢いに押されて結局うどん作りに付き合わされることなった。