鑑定士マーガレット・エヴァンスは溺愛よりも美味しいごはんを所望する。
「次からはもっと早く俺を呼べよ」
食事の片付けをしながら、ロキはマーガレットの髪飾りを指差しそう言った。
どういうこと? と首を傾げるマーガレットに、
「全く、お前のその鑑定スキルは何のためにあるんだ」
やや呆れたような口調で迷子になったら呼べって言ったのにとロキはため息をつく。
どおりでなかなか呼ばれなかったわけだと伝わってなかったらしい事をロキは今知った。
「何って、食材探すために……ではなくて。もしかしてコレGPS機能搭載してます?」
少し思案したあと、マーガレットはもしやと思いロキに尋ねる。
「GP……は知らんが、位置探索と転移魔法は組み込んである」
だから呼べって言ったのにとロキはいうが、髪飾りにそんなものが搭載されているなんて微塵も思っていなかったので、当然鑑定などしない。
というか無断でそんなものつけるなんて一歩間違えたら犯罪者では? なんて思ったけれど。
今回は助かったので良しとする。
「一言くらい言ってくれても」
「マーガレットは鑑定スキルなんて珍しいものを持ってるし、情報漏洩防ぐためにあえて言わなかったんだが……そうだな。次からは話す」
次、とロキが言った事にマーガレットは驚き、
「また、連れて行ってくれるんですか?」
と尋ねる。
「私のせいで、厄介ごとに巻き込まれたから、もう嫌になっちゃったかと思いました」
「そんなわけないだろう。むしろ、危ない目に合わせたのは俺の落ち度で」
申し訳なさそうに落ち込むロキを見て、マーガレットは、
「じゃあ責任取ってください」
と手首を指す。
「責任?」
繰り返したロキにコクンと頷いたマーガレットは手書きのレシピを取り出して。
「私、今すっごくスフレパンケーキが食べたいんで。今日のオヤツはスフレパンケーキがいいんですけど、フワッフワなの作るには超かき混ぜないといけないんですよ!」
せっかく特注で泡立て器を作ってもらったのにこの手首じゃできないわーとわざとらしくマーガレットは嘆く。
「大魔導師様が作ってくれたらチャラにします」
ふわっふわなの作ってくれないと嫌ですよ! とマーガレットは笑う。
「……お前、ほんっと俺のことなんだと思って」
自分で言うのもなんだが、国一番の魔術師だ。その大魔導師を捕まえて責任を取れと迫るなら、大抵の人間は実現不可能に近い事を願うのに。
「だから、万能調理器具様でしょ」
何度もそう言ってるじゃないですか、と言ったマーガレットは、
「でも今回からその前に"世界最強の"を追加することにします」
と宣言する。
あんなに怖かったし、気持ち悪かったのに、ロキが全部吹き飛ばしてくれた。だから、きっとロキがいればこれから先も怖くないと思う。
「助けてくれてありがとうございました。また、よろしくお願いしますね」
マーガレットは髪飾りを指してふわりと笑う。
そんなマーガレットを見て思う。
ああ、彼女を手放したくない、と。
そして、その方法をロキはもう知っている。
「それで、スフレパンケーキの作り方なんですけど」
ロキはレシピを差し出すマーガレットを引き寄せ、
「それだけじゃ、責任を取るには足りないな」
と囁きその亜麻色の髪にキスを落とす。
「世界中の美味しいごはん、2人占め。なんだろ?」
動揺するマーガレットの手を取り。
「一生、逃す気ないから。覚悟しとけよ」
ロキはマーガレットの手首に口付けて不敵に宣戦布告する。
「はっ? え? えーーーー!?」
そういう責任の取り方は求めてませんけど!? とびっくりするマーガレットの視界に入るのはすっかり見慣れたディスプレイ。
『マーガレットが逃げ切れる確率?????』
それは、神様も知らないこれから先の2人の美味しい物語。
★あとがき
お付き合いいただき、ありがとうございました。
短編で書きましたが、反応が良ければ続編検討するので続きがみたい!って方はぜひお知らせください╰(*´︶`*)╯♡
食事の片付けをしながら、ロキはマーガレットの髪飾りを指差しそう言った。
どういうこと? と首を傾げるマーガレットに、
「全く、お前のその鑑定スキルは何のためにあるんだ」
やや呆れたような口調で迷子になったら呼べって言ったのにとロキはため息をつく。
どおりでなかなか呼ばれなかったわけだと伝わってなかったらしい事をロキは今知った。
「何って、食材探すために……ではなくて。もしかしてコレGPS機能搭載してます?」
少し思案したあと、マーガレットはもしやと思いロキに尋ねる。
「GP……は知らんが、位置探索と転移魔法は組み込んである」
だから呼べって言ったのにとロキはいうが、髪飾りにそんなものが搭載されているなんて微塵も思っていなかったので、当然鑑定などしない。
というか無断でそんなものつけるなんて一歩間違えたら犯罪者では? なんて思ったけれど。
今回は助かったので良しとする。
「一言くらい言ってくれても」
「マーガレットは鑑定スキルなんて珍しいものを持ってるし、情報漏洩防ぐためにあえて言わなかったんだが……そうだな。次からは話す」
次、とロキが言った事にマーガレットは驚き、
「また、連れて行ってくれるんですか?」
と尋ねる。
「私のせいで、厄介ごとに巻き込まれたから、もう嫌になっちゃったかと思いました」
「そんなわけないだろう。むしろ、危ない目に合わせたのは俺の落ち度で」
申し訳なさそうに落ち込むロキを見て、マーガレットは、
「じゃあ責任取ってください」
と手首を指す。
「責任?」
繰り返したロキにコクンと頷いたマーガレットは手書きのレシピを取り出して。
「私、今すっごくスフレパンケーキが食べたいんで。今日のオヤツはスフレパンケーキがいいんですけど、フワッフワなの作るには超かき混ぜないといけないんですよ!」
せっかく特注で泡立て器を作ってもらったのにこの手首じゃできないわーとわざとらしくマーガレットは嘆く。
「大魔導師様が作ってくれたらチャラにします」
ふわっふわなの作ってくれないと嫌ですよ! とマーガレットは笑う。
「……お前、ほんっと俺のことなんだと思って」
自分で言うのもなんだが、国一番の魔術師だ。その大魔導師を捕まえて責任を取れと迫るなら、大抵の人間は実現不可能に近い事を願うのに。
「だから、万能調理器具様でしょ」
何度もそう言ってるじゃないですか、と言ったマーガレットは、
「でも今回からその前に"世界最強の"を追加することにします」
と宣言する。
あんなに怖かったし、気持ち悪かったのに、ロキが全部吹き飛ばしてくれた。だから、きっとロキがいればこれから先も怖くないと思う。
「助けてくれてありがとうございました。また、よろしくお願いしますね」
マーガレットは髪飾りを指してふわりと笑う。
そんなマーガレットを見て思う。
ああ、彼女を手放したくない、と。
そして、その方法をロキはもう知っている。
「それで、スフレパンケーキの作り方なんですけど」
ロキはレシピを差し出すマーガレットを引き寄せ、
「それだけじゃ、責任を取るには足りないな」
と囁きその亜麻色の髪にキスを落とす。
「世界中の美味しいごはん、2人占め。なんだろ?」
動揺するマーガレットの手を取り。
「一生、逃す気ないから。覚悟しとけよ」
ロキはマーガレットの手首に口付けて不敵に宣戦布告する。
「はっ? え? えーーーー!?」
そういう責任の取り方は求めてませんけど!? とびっくりするマーガレットの視界に入るのはすっかり見慣れたディスプレイ。
『マーガレットが逃げ切れる確率?????』
それは、神様も知らないこれから先の2人の美味しい物語。
★あとがき
お付き合いいただき、ありがとうございました。
短編で書きましたが、反応が良ければ続編検討するので続きがみたい!って方はぜひお知らせください╰(*´︶`*)╯♡