唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
コンサート本番
 

 ☆唯都side☆



 恋をすると世界が変わるというのは本当だった。

 勝手に瞳にかかるキラキラフィルター。

 人の失敗を全力でつついてくる暴れまくりの猛獣でさえ、親に捨てられて強がる可愛いらしいオオカミに見えるから笑えてくる。



 いま俺がいるのはコンサートホール内の楽屋。

 今日はエンジェルラダーコンサート当日。

 しかも本番30分前。



 王子とも騎士ともとれる真っ白なタキシードに身を包んだ俺は、横長なソファで足を組み一点をガン見。

 でも目じりは垂れっぱなし。

 頬は緩みっぱなし。

 ニマニマは止まらなくて。



 本番直前なのに緊張感がない俺を、ワイルドな猛獣はどうしても許せないんだろう。

 ソファの真横に立つ我流(がりゅう)が、俺にガミガミと説教を落としてくるも……


 ごめんね無視なんかして。

 今それどころじゃないんだ。

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