唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
「ガルルって呼ぶな!」と吠える我流を、いつも通り鼻笑いでスルー。
「本番前に重要なとこの最終打ち合わせするって言ってあったろ。尊厳と独璃はもういるぞ」
早くいけというジェスチャーなのか、親指で廊下を指している。
「はぁどいつもこいつも、俺を猛獣扱いしやがって。マネ、本番終わるまで唯都のスマホ預かっといて」
我流が俺のスマホを放り投げる。
ドア前を陣取るマネージャーは余裕でキャッチ。
「今日はオマエら4人にとって大事なコンサートだ。どうしても天禰の命日にあいつが立ちたかった舞台でスポットライトを浴びたいっつーから、社長も事務所のスタッフも必死でこの舞台を用意した。中途半端なパフォーマンスして恩をあだで返したら断罪、ギロチン首ちょんぱ確定だからな。気合い入れてのぞめよ!」
俺たちに普段通りの過激なゲキを飛ばし、そのまま廊下に消えてしまった。