唯都くんは『運命の番』を溺愛したい

 だって一切ファンサをしないエンラダなのに、唯都様は私だけにウインクをヒュン。

 『だ・い・す・き』と口パクされた時には、もう大変。

 私の周りにいたファンたちが「キャー、唯都様に求愛された」とジャンプではしゃぎだしお祭り騒ぎに。



 泣きながらうずくまっちゃう子も、立ったまま放心状態で固まっちゃう子もいて……

 みんな気絶してない? 

 救急車を呼ばなくて大丈夫かな。

 私は真っ赤に光るペンライト2本を胸に、アタフタオロオロしちゃいました。

 動揺を隠せない私を見て、唯都様はステージ上でクスクス笑っていましたが。




 コンサートが終わっても、まだバクバクが収まらない。

 肌から逃げ出しそうなほど、心臓が暴れ乱れている。



 これ以上ハートに負荷をかけたら、心停止しちゃわないかな?

 胸をさすらずにいられないのは、このあとエンラダの楽屋にお邪魔させてもらうことになっているから。

 この特等席に座っていれば、筋肉隆々のマネージャーさんが迎えに来てくれるはずなんだけど。


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