唯都くんは『運命の番』を溺愛したい

 立ち上がったと思ったら、私をシートにもう一度座らせた。



 「琉乃ちゃんは会場に残っているお客さんに暴露したいの? 私の運命の番はエンラダの唯都ですって」



 そして私を閉じ込めるように、シートの背に両手をついてニヤリ。



 「いいよ、今からステージに二人で上がろうか」


 「え? まままっ待ってください。目立つとかそういうのは……ちょっと……」



 恥ずかしさで潤む目元。

 見られたくなくてうつむいていたら、ギューと甘い熱に包まれた。



 「俺のこと嫌いにならないでね」


 「……」


 「琉乃ちゃんがいない未来なんて、心臓を動かす価値すらない」

 
 
 私を抱きしめる唯都様の腕に、力が入る。


 
 「ずっと俺だけの灯でいて。俺の心臓が止まる日まで」


 
 切実な声とともに、私のほほに唯都様がほほを押し当ててきたから

 ドキドキが手に負えなくなって

 目の前がぐるぐる回りだして


 「ぜぜっ……善処……します……」


 よくわからない言葉をもらしてしまいました。
 
 
< 156 / 369 >

この作品をシェア

pagetop