唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 もう会場内からお客さんのはしゃぎ声は一切聞こえない。

 広い客席に私と唯都様の二人だけっぽい。

 5分以上抱きしめられたままだから、瞳で確認できたわけじゃないけど。



 「あの、そろそろ……」



 唯都様の腕の中で肩をモゾった私は、次の瞬間宙を舞い……って!?



 違う違う、心拍が急発進したから行き過ぎた脳内発言をしちゃったけどれど、私はもちろん飛んではいない。

 ここは地球、重力がゼロに近い惑星じゃない。

 地に足がついていないのは本当のことだけど……



 唯都様のぬくもりもが甘い。

 ふわっと香るオスの匂いまで極甘だから、脳が溶けそうになる。


 天井をバックに、唯都様の麗しフェイスが私の瞳を惑わしてくるんだけど。

 悪いことを思いついた小学生みたいなヤンチャ笑顔が真上に咲き誇っているから、私の心臓がバクバクに堪えきれず……って……

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