唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
「……見つけた」
脱力するかのように、刀をステージに落とした唯都様。
目を見開いたまま、客席をジー。
なぜかファンの群れのはるか後ろにいる私に、視線を飛ばしてきた。
これって私……
推しと視線が絡んでいる……?
いや、ないない。
あるわけがない。
恥ずかしい勘違いをしちゃった。
推しが見つめているなんて、私が思い込みたいだけだよね?
痛すぎるファンだって自覚しなきゃ……って。
まだ目が合ってるんですけど!
「唯都、歌!」
怒り顔の我流くんが、唯都様のお腹を斬るように剣を走らせたからだろう。
ハッとなった唯都様は、刀をよけるようにバク転を華麗にきめた。