唯都くんは『運命の番』を溺愛したい

 「怖い…ん…です……」


 「琉乃ちゃん大丈夫だよ。ガルルって猛獣は頭を撫でてあげれば、簡単に懐いて……」


 「唯都様が……」


 「え、俺?」


 「なんか……怖くて……」


 
 大粒の涙と一緒に、なぜそんなセリフをこぼしてしまったんだろう。

 悲しみがこみあげるたびに涙があふれてきて、顔を手で覆いながらヒックヒックと肩が跳ね上がってしまう。



 ほんとうは唯都様が怖いんじゃない。

 唯都様に捨てられる未来が怖い。



 【天禰に似ているから、琉乃ちゃんを運命の番だと思い込んでいた。琉乃ちゃんのことは好きじゃない】


 そう告げられ、二度と笑顔をみせてもらえなくなる日が来るのが怖いんだ。

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