唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
「あっ……違うん…です……」
ダメだ、涙が止まらない。
嵐のように渦を巻く悲しみが消えさってくれない。
「ごめんな…さい……忘…れてくだ……さいっ……」
泣き顔を見られたくないのに
唯都様を困らせたくないのに
嫌われたくないのに
「琉乃ちゃんどうしたの?」
「……っ、うっ……」
「俺、何か気に障ることを言っちゃった?」
「違っ……唯都様は…何も…悪くなくて………」
私は何度唯都様から逃げ出せば、気が済むんだろうな。
「借金を肩代わりしてもらった身なのに……本当にごめんなさい……」
唯都様からもらったレースのチョーカーも、唯都様カラーに光るペンライトも、床に置き去りのまま。
嗚咽をもらしながら階段を駆け下り、私はコンサートホールの外に飛び出した。