唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
愛と呪い
☆唯都side☆
アルファの俺は、オメガにとって怖い存在なのかもしれない。
琉乃ちゃんのオメガフェロモンを嗅ぐと、自分が簡単に壊れてしまう。
余裕がなくなって。
相手の気持ちより自分の欲望に意識が向いて。
理性が飛びそうになって。
欲しい、触れたい、抱きしめたい、自分だけのものにしたい。
俺の強引さが嫌だったんだろうと、後悔が湧いた時にはもう遅い。
いつも琉乃ちゃんを傷つけてしまった後なんだ。
引っかかっているのは、琉乃ちゃんが駆け出す前にもらしたあの言葉。
【借金を肩代わりしてもらう身なのに】
俺は琉乃ちゃんを助けたかった。
他のアルファに売られる前にどうにかしたかった。
こんなはした金で琉乃ちゃんを笑顔にできるのなら、迷うことはない。
神楽家の借金を返してあげることで運命の番を手に入れられるなんて、労力ゼロで死ぬまで俺の幸せが保証されたようなものだから。