唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
謝罪の電話なのかもしれないな。
さっきはコンサートホールから飛び出してしまってごめんなさい。
スマホの向こうで必死に頭を下げてきそうな予感。
俺なんかに謝ってほしくない。
自分が悪いと思わないで欲しい。
全部俺のせいだから。
俺の独占欲が琉乃ちゃんを追い詰めて、泣かせて、嫌な思いをさせてしまったんだから。
スマホの震えが止まった。
掛けなおそうかと悩んでいる間に、また手の中で震えだして焦る。
もう一度きちんと話そう。
誠心誠意謝ろう。
勝手に進めてしまった借金の肩代わりの件も。
運命の番だと思い込み、琉乃ちゃんの人生をすべて独占しようとしたことも。
替えのきかないほど、琉乃ちゃんを好きになってしまったことも。
なにもかも、俺の悪いところ全部……
画面に指を当てスマホを耳元に。
「もしもし」