唯都くんは『運命の番』を溺愛したい

 たった4文字つぶやいた後になって、もっと明るい声を放てばよかったと後悔が湧いてきた。

 でも後悔が一瞬で消え失せたのは、自分の耳を疑ってしまったから。



 『ねぇ君、本当にトップアイドルの天上(あまがみ)唯都(ゆいと)?』



 これは……男の声だ。



 「そうですが……どなたですか?」



 琉乃ちゃんの番号からだよね?と、慌てて画面に焦点を合わせる。

 好きな子の名前が、間違いなく浮かび上がっているが……



 『リアルの本物じゃん。この女、案外使えるんだな』



 スマホ越しに響いた、ケラケラと嫌味な笑い声。



 「あなたは誰なんですか? なぜ琉乃ちゃんの携帯を? 琉乃ちゃんに変わってください!」



 取り乱した俺は、荒々しい声をスマホにぶつける。


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