唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 『ノーメイクにポニーテールの女子高生って、威圧感なくて無害っぽくて好きだわ』


 「琉乃ちゃんはどこだ!」


 『スマホ越しとはいえ怒鳴ったら起きちゃうでしょうが。安心しな。彼女は車の後部座席でスヤスヤおねんね中。ちょっと拘束しちゃってるけど』


 「……は?」


 『可愛い寝顔をスマホに送ってあげたのに、まだ見てないの? 最近の若い子ってスマホの通知来るとすぐチェックするっていうの、あれデマなん?』



 ひょうひょうとした相手の声が、俺のいら立ちを生む。


 拘束? そんなはずがない。

 コンサートの後、琉乃ちゃんは神楽家のお抱え運転手に家まで送ってもらうと言っていた。



 ただの悪ふざけの電話だ。

 そう思い込みたいのに、つま先から恐怖が駆けあがってくる。



 もしかしたら琉乃ちゃんは、事件に巻き込まれているのか?

 覚悟を決め、通話アプリを開いた。



 ……え?

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