唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
『見たか?』
目をつぶったまま、車のシートに横になってるのは……
『オイ、聞いてるのか?』
間違いなく琉乃ちゃんだ。
腹に縄を何重にも巻き付けられている。
腕ごとグルグルまき状態で、手の自由まで奪われていて。
信じたくないものを見た時、人間は防衛反応を起こすのかもしれない。
『これは夢だ。間違いない。琉乃ちゃんは今頃、楽しそうエンラダの歌を口ずさんでいるはず』
都合のいいように必死に思い込もうとしてしまう……も。
危険をしらせるパトランプは真っ赤に点滅中。
目を覚ませ!現実をちゃんろ見ろと!ろ、俺に訴えかけてくる。
顔に怒りをにじませ、俺はスマホを耳にあてた。