唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 『見たか?』



 目をつぶったまま、車のシートに横になってるのは……



 『オイ、聞いてるのか?』



 間違いなく琉乃ちゃんだ。

 腹に縄を何重にも巻き付けられている。

 腕ごとグルグルまき状態で、手の自由まで奪われていて。



 信じたくないものを見た時、人間は防衛反応を起こすのかもしれない。


 『これは夢だ。間違いない。琉乃ちゃんは今頃、楽しそうエンラダの歌を口ずさんでいるはず』


 都合のいいように必死に思い込もうとしてしまう……も。

 危険をしらせるパトランプは真っ赤に点滅中。

 目を覚ませ!現実をちゃんろ見ろと!ろ、俺に訴えかけてくる。

 顔に怒りをにじませ、俺はスマホを耳にあてた。

< 225 / 369 >

この作品をシェア

pagetop