唯都くんは『運命の番』を溺愛したい

 宝物が二度と拾えない闇に落下してしまったような絶望で、意識が飛びそうになるも


 『取引をしようじゃないか』


 勝ち誇った声に、琉乃ちゃんを守らなければという責任感が目覚めた。



 「取引?」


 『飼育型オメガを売り飛ばされたくなかったら、天上唯都、オマエが商品になれ』


 「どういうことだ?」


 『オマエはこの国を代表するトップアイドルだ。世界中に高級リゾートホテルをバコバコ立てている大企業の御曹司でもある。顔面は芸術レベルの麗しさで最高峰。オメガとしてアルファに快楽を与える神楽琉乃よりも、オマエの方が圧倒的に高額で売れるんだよ』



 舌なめずりをしたんだろう。

 ネチョネチョした不快音が気持ち悪い。


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