唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
悔しさで歯を食いしばる俺の目の前
「ってゆーか、なんだよ。そのヘタってる顔は」
白い歯を月光で光らせながら、我流が豪快に笑った。
「泣きたくても泣けないクセ、どうにかしねーと俺みたいな湾曲頑固者になるぞ」
ツンとうずく鼻がしらを指でつままれ、涙腺が緩みそうになる。
言葉にしなきゃ。
我流に大事なことを伝えなきゃ。
爪が食い込むほど拳を強く握りしめ、なんとか口を開く。
「……我流に任せたい……これからのこと」
……俺がいなくなった未来のこと。
……尊厳のことも、独璃のことも、なにもかも。
「アハハ、なんだそれ? 俺様の死亡フラグ立てにきたのか? 勘弁してほしいんだけど」
「ごめん、ほんと勝手で。今は何も言えない。何も聞かないで欲しい。でも我流たちを傷つけたくはない……」