唯都くんは『運命の番』を溺愛したい

 言葉を発すれば発するほど、落ちてしまう視線。

 自分でも何を言っているのかわからない。

 我流はもっと意味がわからないはずだ。



 それなのになぜこの男は、いつもみたいに怒鳴らないんだろう。

 陽気に俺の肩に腕を回し、腕で顔を挟み、乱暴に俺の顔に頭をぶつけてくる。



 「勝手? 上等じゃねーか!」


 「え?」


 「俺たちエンラダは、ワガママで自己中な傲慢アイドルだ」


 「……」


 「世間に批判されようがネットで叩かれようが無視しまくって、やりたいようにアイドルを続けてきた」


 「……」


 「車の中のオマエへの忠告も、思い返せば『我流が言うなって!』ってキレられても文句言えねぇやつだったよな」


 「……そんなことない」


< 233 / 369 >

この作品をシェア

pagetop