唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
いつもの我流らしくない。
優しくしないで欲しい。
俺は今から琉乃ちゃんを救うために、我流たちを捨てるんだから。
「行かなきゃいけないところがある」と、俺はキャップを深くかぶり直す。
引き止められるかと思った。
さすがに怒鳴られると思った。
何しにここに来た、天国のアマネにコンサートの報告をするんだろ!って。
でも違った。
「ああ、オマエの好きにしろ。俺たちのことは気にするな」
我流は絡めていた腕を放すと、今度は俺の両肩に手を置いた。
俺のおかれた状況を知っているかのような、真剣な瞳。
そんなはずないよねと、拍子抜けした顔で我流を見つめ返してしまう。