唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 「いいか唯都、他人の感情なんか一切無視しろ」

 
 「……え?」


 「俺のも尊厳のもヒトリのも、あのベータ女の感情でさえもだ」


 「……何が……言いたいの?」


 「自分の心の声だけ拾え」


 「俺の?」


 「迷ったら、唯都が幸せになれるかどうかで選べ。あとはどこぞやでふんぞり返ってる神が、何とかしてくれるから」



 「神任せって……」



 「目を見開いて驚くなよ。メルヘンを嫌う俺様っぽくない発言だって思ってるな」



 そうだよ、その通りだよ。

 だって


 「我流は神や運に頼らない現実主義者。結果を出すために自分を追い込む、血を吐くぐらいストイックに。そんな我流が神に任せろなんて……」


 「そりゃ困惑だよな? 俺自身が思ってる。何言ってんだ、さっき唯都に怒鳴ったことと真逆だろうがって。でも今言っとかないと、オマエ……自己犠牲に走りそうだし……」


 「え?」
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