唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 「……思って……ねーからな」


 「え?」


 「……似合ってないとか」


 「なんのこと?」


 「あぁぁぁぁ、もう! あのベータ女とオマエが同等な関係を築けるなら、祝福してやるって言ってんの!」


 
 照れを溶かしたような叫び声が、満月を震わせた。

 我流は掴んでいた俺の手首を振り払うと、「オマエ相手にこういうの、恥ずかしさでマジ死ぬ」とぼやき、地面にしゃがみ込んで。

 頭を抱え込んでいる姿に「ほんと不器用な奴」と、好意的な情がこみあげてくる。




 高校生にもなると『きみの幸せを願っている』なんて、友達に伝えるのが恥ずかしくなるもの。

 それなのにありがとう、あえて言葉にしてくれて。



 「ガルルが幼なじみで良かったよ」


 心からのお礼を月夜にこぼした俺。


 「……ガルル言うな」


 我流の照れと優しさを追い風に変え、俺は闇に向かって走り出した。




 
 


 

 





 
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