唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 どうやら私は車の中で眠らされてしまった。

 腕とお腹周りを縄でぐるぐる巻きにされ、チャペルの列席者が座る長椅子に寝かされている。



 ふとチャペルの側面の壁に目を向ける。

 天井のライトで煌めいているのは、存在感のあるステンドグラス。

 新郎新婦が祝福を受ける清い場所なのに、人質のように縛られた私が横たわっているこの状況が理解できなくて、怖くて、逃げたくて、何もできなくて……

 



 冷静になんてなれるわけがない。

 私の身が危ないのは、理亜ちゃんの表情を見れば一目瞭然だ。


 瞳に輝きがない。

 ゾンビのようなうつろで灰色な目。

 口裂け女のような笑みが不気味すぎて、体が震えだす。

 今までたくさんいじめられてきたけれど、ここまで悪意に満ちた姉の顔を拝むのは初めてだろう。



 「理亜ちゃん、なんでここにいるの?」


  どうして私は縛られてるの?
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