唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 「パパもママも唯都くんまでもが、琉乃に騙されるなんてね」


 「えっ……何の話?」


 「琉乃はベータでしょ? アルファの私より格下で、無能な害虫なの。それなのにみんな琉乃琉乃って、急に可愛がり出して!」



 怒りをぶつけるように、理亜ちゃんは私のお腹につま先を食い込ませた。

 蹴られたお腹に深く重い激痛が走る。


 「……うっ、ううっ」

 痛みに耐えきれず体を丸めようとするも、腕とお腹が縛られ体をひねることしかできなくて。



 長椅子に寝かされた状態でバタついてしまったせい。

 バランスを崩し落下した。

 勢いよく床にたたきつけられ、今度は右半身に痛みが走る。



 どんなに私が痛みで顔をゆがめていても、理亜ちゃんの怒りは静まらない。

 ハンドモデルのような透明感のある手のひらで私のポニーテールをガサツに掴むと


 「いつまで寝てんのよ!」


 髪の毛をむしりとるくらいの強い力で、私の上体を無理やり起こした。


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