唯都くんは『運命の番』を溺愛したい

 もちろんすぐに馴れ馴れしくなんかできなかった。

 お互いまだ、どんな距離感で接していいか手探りな日々。

 でも顔色を伺いながらも挨拶を交わしたり、たわいもない会話を飛ばし合ったり。

 ちょっとずつ姉妹の仲が進展してるのかなって、最近の私は嬉しさを噛みしめていたのに。



 車で眠らされたあとに連れてこられたこのチャペルに、なぜ理亜ちゃんがいるの?

 私のことを、妹として受け入れてくれたんじゃないの?

 ねぇ理亜ちゃん、本当のことを教えてよ。



 理亜ちゃんは私の前にしゃがみ込んだ。

 手にはまだ、私のポニーテールが乱暴に握られたまま。

 思いきり上に引っぱるから、髪が束で抜けそうなほどの激痛がこらえきれない。



 「……っ、やめて理亜ちゃん」


 「ほんとムカつく! 不細工なくせに! 唯都くんに選ばれて!」


 「痛いから、髪をはなして」


 「この顔のどこがいいわけ? 私より出来の悪い琉乃が選ばれるなんてありえないでしょ!」 

< 244 / 369 >

この作品をシェア

pagetop