唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 怒り狂う理亜ちゃんのゆるふわ髪が、乱れまくるように宙を舞っている。



「普通人間のベータのくせに、調子に乗ってんな!」



 チャペルに響く理亜ちゃんの怒号。

 彼女の両手が、今度は私の首に絡みついた。



 「あのね、私はアルファなの! 優秀で高貴な人種なの! それなのに琉乃が唯都くんの彼女? 将来は結婚? はぁ?」



 彼女の握力が強まって。

 首に親指の腹が食い込んで。

 ……くっ、苦しい



 「ありえないでしょうが! あんたが幸せになるなんて! 私より幸せになるなんて! 絶対に絶対に許さないんだから!」



 ……うっ、、、息ができない。



 締め上げられた首の痛みが、三途の川をちらつかせる。

 息苦しさは増すばかり。

 気道が完全にふさがれるのも時間の問題。

 琉乃ちゃんは私の息の根を止めるかのように、ギューギューと指に渾身の力を込めてきて。



 もう……

 ダメかも……


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