唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 「わわわっ、私の名前なんて忘れてください」



 唯都様の記憶脳に私の名が刻まれるなんて、おこがましすぎますから。



 「フフフ。俺のお姫様は、焦った顔も可愛すぎ」



 また俺の姫って言った!



 「瞳ウルウルでポニーテールフルフルさせて……俺を惑わすキュートな天使にしか見えないんだけど」

 

 私の推し、視力悪すぎ説が浮上。

 キュートの概念、ひねくれていると思う。



 「俺の妄想以上に可愛さ盛るの、どうにかしてくれないかな。二人だけだったら俺に襲われているからね」




 うっ、、、甘い。

 何もかもが甘すぎる。

 声も。笑顔も。吐息も。

 唯都様からにじみ出ているアルファフェロモンまでもが、極上に甘々で……って。



 なに私、ありえないことを思っちゃったの?

 私はベータだよ。

 オメガと違ってアルファのフェロモンを嗅ぎ取れないし、惑わされることも絶対にない人種だよ。



 そっかそっか。

 今のはアイドル様のキラキラオーラを、彼のフェロモンだって思い込んじゃっただけだ。

 うん、間違いない。絶対にそう!

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