唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
「あっ、あの……」
私はベータですと、はっきりお伝えしなくては!
勢いをつけるように、下げていた視線を上げてみたものの
「もう一度呼んで。俺のこと、唯都様って」
私の後ろにある木に片手をついた唯都様が、顔をグググーと近づけてきて
「さっき呼んでくれたでしょ。嬉しかったんだ。ありがとう。俺のことを王子様扱いしてくれて」
サラサラな髪を揺らしながら、期待でキラめく瞳で私を見つめてきたんだもん。
「唯都……様……」
込み上げてきた、顔が燃えそうなほどの恥ずかしさ。
耐えきれず、私はほっぺに垂れる横髪を指でこすりながら地面に視線を逃がしちゃった。
「フフフ。琉乃ちゃん、ほっぺが真っ赤になってるって自分で気づいちゃったんでしょ? 本当にかわいいな、この子は」
「これって……ライブの演出ですよね……?」
「ん? 演出?」