唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
「僕その時ね、ほんと壊れてたんだ。あとほんの少しの勇気があったら、僕は今ここにいない。勇気があるあっちゃんと違ったから……僕が弱虫だったから……」
過去の苦しみを吐き出す独璃くんに、かける言葉が見つからない。
「唯くんたちもすっごく悲しんだ。僕みたいに大泣き大暴れなんて無様な姿は見せなかったけど、めいっぱい苦しんで今も苦しんでて。もう会えないという地獄を僕たちは嫌というほど味わった、だから絶対に唯くんは人を殺めない」
「残された人の悲しみが、わかるからですか?」
私の問いに独璃くんは顔を上げた。
瞳には涙がたまっている。
「そうだよ」と重みのある頷きの後、清い雫が透明感のある頬を伝っていく。
「あの男は罪を犯した。オメガの君を誘拐して海外に売り飛ばそうとした。君に恐怖を与えた罪人をこの世から消し去りたい。唯くんはそう思っているかもしれない」
それなら今すぐに、唯都様を止めないと……