唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
「それでも絶対に、唯くんは男の命を奪わない。どんな罪人であっても、彼を大事に思う人や家族はいる。その人たちに罪はない。そのことをわかっているから」
「……」
「残された人にとって、大事な人が刑務所に入るのと、二度と会えない地獄に落とされるのでは全然ちがうんだ」
「どういう意味ですか?」
「生きていれば自分の想いを伝えることができる。なんでそんなことしたの? あなたが罪を犯したせいで、自分が周りから酷いことを言われてるんだよ! そうやって怒鳴ったりできる。悲しみも、苦しみも、怒りも、愛情も、顔を見て自分の想いをぶつけることができる」
「……」
「でも死んじゃったら? 残された人の想いは行き場をなくすでしょ? 自分の中にため込んで、醜い感情は募る一方で、闇から伸びる手が自分の首を絞めてきて苦しくなる。ねぇ、僕の言ってることわかる?」
独璃くんの涙につられそうになり、鼻がしらがツンとうずく。
理解できたかなんて自信ない。
私は控えめに、こくりとあごを下げた。