唯都くんは『運命の番』を溺愛したい

　「もう二度と会えないから辛いんだよ。自分の感情の行き場を失ったことが苦しいんだよ。僕だってあっちゃんに、顔を見て伝えたい思いがあったのに……僕からの告白を聞かずにいなくなるなんて、ずるいよ……ほんと……」



　涙があふれるたびに、独璃くんはひっくひっくと鼻をすすって。



　「でも一番ズルいのは、嫌われたくない、ふられるのが怖いと逃げてばかりいた、臆病な僕なんだけどね……」


　おでこに頭を当て、苦しそうにうつむいてしまった。



　
　唯都様だけじゃなかったんだ。

　独璃くんも、あまねさんという女性に恋心を抱いていたんだ。



　独璃くんの恋心を知っていたからこそ、唯都様はあまねさんを諦めたんだろう。

　でも諦めきれなくて、私を自分の運命の番(つがい)だと思い込むようにしたんだろうな。


　唯都様は本当に優しいから。