唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 「話がズレちゃったけど」と、涙を拭った独璃くんが車窓の外を指さした。

  男に向けていた刀を下ろた唯都様。


 「ほらね」


  僕が思った通りだと言いたげな顔で、独璃くんはうっすら口角を上げている。



 車の上で腕を組む我流くんが「行け」と吠え

 男を囲むように4方から飛び出した、スーツ姿の男たち。

 手に銃は持っていなさそうだけど、さっき言っていたスナイパーかな?



 さすがプロ。

 たった数秒の出来事。

 男は取り押さえられ、後ろに回した腕に手錠のようなものをはめられている。



 我流くんは片耳を手で押さえた後、片方の口角をあげながら車から飛び降りた。

 立て膝をつく男の前へ。


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