唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
「チャペルに現れたオマエの仲間も捕まったそうだ。警察にお前のことも洗いざらいしゃべってるってよ」
「……っ、くっそ」と、男は悔しそう。
「オメガオークションの実態も、そいつがぶちまけたんだと。外国のお偉いさんは仕事が早くて脱帽レベルだな。世界第二の性機構と国際警察がタックを組んで、オメガ売買の撲滅に動き出したって言うしさ」
それを聞いて、パチパチと手を叩きながら男の前に進んだのは尊厳くん。
「それならあなたのこれからの住所は、世界中の大罪人がわめき散らす物騒な監獄になるでしょうね。極寒の地と灼熱の地のどちらになるか、私も決定を楽しみにしていますね」
上品に笑う尊厳くんの首に我流君が腕を絡め、「俺もすっげぇ楽しみだ」と意地悪く笑っている。
唯都様は男の前にしゃがみ込むと、見事なまでのアイドルスマイルを煌めかせた。
「どちらの監獄生活も地獄だって聞く。耐え抜いて、ちゃんと罪を償ってね」
それは男が絶望で気を失いそうになるくらい、優しくて残酷な声だった。