唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
足音が消え、はぁはぁと荒い息だけが月夜に溶ける。
唯都様の苦しそうな表情に目を奪われていると、いきなり手首が掴まれた。
脈が溶かされそうなほどの高熱が、私の肌温度と混ざりあう。
触れられている部分だけじゃない。
心臓までがくすぐったい。
幸福とドキドキで早くも目が回りそうになっている間に、私は車から降ろされていた。
前のめりで飛び込まざるおえなかったのは、唯都様の胸元で。
もう離さない。
そう言わんばかりの高圧力で、唯都様は私を強く抱きしめてくる。
幸せすぎる。
涙が出そう。
ずっと唯都様の心音を聞いていたいな。