唯都くんは『運命の番』を溺愛したい

 反論しなきゃ。

 真実を伝えなきゃ。

 今すぐに。



 頭ではわかっているのに、乱れる呼吸が私ののどをギュっと塞いでくる。



 ウイルス侵入? 

 高熱でもある? 

 インフルの時のようにぼーっとして、頭が働かない。



 「そんな顔で見つめられたらアルファの理性は簡単に壊れるって、ちゃんと覚えておいてね」



 唯都様の細くて長い指がしずみこんだのは、私のあごの下。



 えっ、待って待って。

 これって、あごクイされてる?

 

 綺麗な美顔が、少しずつ少しずつ私の唇に。



 わわわっ、、、

 私のファーストキスが奪われちゃうんじゃ……

 100人以上いるエンラダファンの前で?!



 されるがままはダメだってわかってる。

 唯都様を突き飛ばしてでも、走って逃げるべきだって。



 だけど……
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