唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
唯都様の真横に立っていたのは、制服の美女。
王子様と並んでも引けを取らない、セクシー系のお姫様。
「唯都くん、ごめんなさい。この子は私の妹なんです」
色っぽく波打つ髪が大揺れするほど、勢いよく唯都様に頭を下げると
「琉乃、ベータなのにオメガのふりをしちゃダメって、何度言ったらわかるの?」
木の前に立つ私を満面の笑みでハグ。
「ほんと、オチャメで可愛い妹なんだから」
よしよしと、私の頭を撫で始めたんだ。
そして私から離れたと思ったら、今度は唯都様の真ん前を陣取って真剣な顔。
「琉乃はベータなんですけど、オメガの私にすぐ抱き着いてくるんです。アルファの彼氏を作るのが小さい頃からの夢で。私のオメガフェロモンを体にこすりつけて、アルファ様を誘惑したくなってしまうみたいで。でも琉乃に悪気はないんです。止めない私がいけないんです。だから唯都くん、琉乃を解放してあげて。お願い」
家とは全く違う理亜ちゃん。
優しくて責任感のある姉を、見事に演じきっている。