唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
こんなに優しい表情で笑いかけてもらったのは、10年ぶりで。
『小1でベータと判定されるまでは、家族みんなが優しかったんだけどな』
懐かしさと切なさが、同時に込み上げてきて。
過去の家族団も、その中で無邪気に笑っていた小さい頃の自分も、今は羨ましくてたまらない。
私と理亜ちゃん、唯都様のやり取り。
静観していたエンラバメンバー3人は、口をつぐむ限界に達していたらしい。
「唯都の勘違いだったのかよ。バズーカ砲を取りに行ってやったのに、無駄骨だったじゃねーか」
我流くんは目を吊り上げながら、ワイルドに長めの前髪をかきあげて
「網で捕まえた相手がベータでは、アルファの運命の番にはなれませんしね」
執事のように落ち着きのある声をこぼした尊厳《そんげん》くんは、残念そうな溜息をひとつ。
おさな顔の独璃くんはというと