唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
家族の嫌われもの

 エンジェルラダーのライブから1週間がたった。

 私・神楽(かぐら)琉乃(るの)の生活は1週間前と変わったことだらけ。



 まず姉のことから。

 理亜(りあ)ちゃんに恋人ができました。

 彼女のハッピーオーラは、24時間ダダ洩れ中。

 それだけなら、私のメンタルも平和なんだけど……



 『見て見て、唯都(ゆいと)くんがくれたの。私を独り占めしたいんだって』



 首に巻いた白いレースがあしらわれたチョーカーを、ルンルンで見せびらかしてきたり。



 『この指輪、綺麗でしょ? 唯都くんがはめてくれたんだ。離れていても理亜を愛しているからねって、唇にチュってしてくれて』



 大粒ダイアモンドの指輪がおさまった左手の薬指を、私の目の前にちらつかせてきたり。



 可愛さのかけらもないベータの私が、唯都様に選ばれるはずないってわかっているつもりだけど……



 お姫様扱いをしてもらった夢のような時間が、どうしても忘れられない。

 理亜ちゃんの恋話を耳にするだけで、胸がチクチクと痛みだしてしまうから困りもの。


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