唯都くんは『運命の番』を溺愛したい


 あっでも、勘違いしないでね。

 不良と言っても、みんな個性がギラギラで言葉遣いが荒いだけ。

 根は優しい人ばかり。

 私を痛めつけようなんて人は、一人もいないから。

 血が繋がった私の家族と違ってね。



 はぁぁぁぁ……



 神様がもしいるのなら、叶えて欲しいお願いがあります。

 贅沢は望みません。

 私が願うのは、たったこれだけなんです。



 『琉乃、いつも家事をありがとう』



 『あなたはベータだけど、私たちの娘よ』



 いつの日か父と母が、私に優しく微笑んでくれますように。

 


 家族に見放されて10年もたつ。

 でもまだ私は、両親から娘として扱って欲しいと願っているなんて。

 むなしいな……



 悲しみで鼻がしらが疼いた、ちょうどその時

 ドンドンドン!

 いきなり大音量で音楽が流れ始めた。

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