唯都くんは『運命の番』を溺愛したい
「自分の発言で相手を悲しませていないか、ビクビクしてたりするでしょ?」
「……あっ、うん」
「周りを楽しませようとずっと笑顔で。授業中はウトウトしてるくせに、休み時間はうちらの相談に乗るために頑張って目を開けてたりして。授業が終わったら速攻帰るのも、なぜなのかなって」
「神楽が心から笑えるようになって欲しいって、冴が望んだ。だから俺らのチームの情報網を使って、神楽家のことをいろいろ探った」
冴ちゃん、ずっと私のことを心配してくれていたんだ。
「ありがとう冴ちゃん、総長」
「深々と頭を下げすぎ。血がのぼるぞ」
「心からの感謝なんて、目的地に着いた時にして欲しいんだけどな」
ん?
冴ちゃんが放った言葉の意味が、よく分からないんだけど。
「目的地ってツーリングの?」
「今から私が家族に虐げられていたメイドちゃんを、世界一幸せなお姫様に変身させてあげるね」
「えっ? 冴ちゃん、どういうこと?」
「ほら、これかぶって」
胸に押し当てられたから、ヘルメットを受け取っちゃったけど……